DIY経験があり、工具や家電の扱いに慣れている方のなかには、中古エアコンを購入して自分で取り付けようと考えている方もいるのではないでしょうか。
実際に調べてみると、エアコンの取り付けを自分で行っている方が手順を紹介している記事や動画が見つかります。
しかし、基本的にエアコンを自分で取り付けるのはおすすめしません。
今回は、中古エアコンを購入し自分で取り付ける場合と業者に依頼する場合の違いを紹介します。
自分で取り付ける際の注意点や業者選びのポイントも解説するので、参考にしてみてください。
中古エアコンの取り付け方法

中古エアコンを取り付ける作業は、自分で行うか業者に依頼するか、どちらかの方法を選ぶことになるでしょう。
それぞれのメリットやデメリット、必要な作業時間、費用の相場は以下のとおりです。
自分で取り付け作業を行う | 業者に依頼する | |
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メリット |
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デメリット |
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作業時間 | 3~5時間 | 1.5~2時間 |
費用の相場 | 1.5~3万円(工具、パーツ代) | 1.5~2万円 |
それぞれの特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。
自分で取り付けたとき
中古のエアコンを購入し自分で取り付ける場合、必要な工具がすでに揃っているなら工事にかかる費用を節約できます。
DIYの経験が豊富で、必要な工具を持っている場合は、自分で取り付ける選択もできるでしょう。
ただし、必要な工具がない場合は購入しなければなりません。
後ほど詳しく紹介しますが、エアコンを適切に取り付けるためにはさまざまな道具が必要です。
すべて揃えるために費用がかかるので、結果的に業者に頼むより費用がかさむ可能性もあります。
また、素人がエアコンの取り付けをすると時間がかかってしまうのもデメリットです。
正しい知識や技術がないため、エアコン工事に失敗してガス漏れや水漏れを起こすリスクもあり、故障のリスクや最悪の場合事故につながることもあるでしょう。
さらに自分で取り付け作業をすると、工事保証を受けられないため大きく損をしてしまいます。
業者に依頼したとき
中古エアコンの取り付けを専門業者に依頼すると、プロがスムーズに工事を進めてくれます。
自分で取り付けるよりもかかる時間が短く、安全に作業をしてもらえるのがメリットです。
標準工事だけでなく追加工事にも対応してもらうことができ、工事によってエアコンが破損したり故障したりした場合は保証を受けられます。
エアコン本体の取り外しや設置、各種工事に必要な料金は、業者によって異なります。
費用がかさむのをためらって自分で取り付け作業をしようと考える方も多いですが、業者に頼んだほうが自分で機材を揃えて工事をするよりも費用を抑えられるでしょう。
安全面からも、できるだけ専門業者にエアコン取り付け作業を依頼するのがおすすめです。
中古エアコンの取り付けに必要な道具と手順

中古エアコンを自分で取り付けるなら、必要な工具やエアコンのパーツを自分で揃えなければなりません。
必要な機材を確認するとともに、自分でエアコンを取り付ける際の作業手順を見ていきましょう。
エアコンの取り付けに必要な工具
エアコンの取り付け工事には、さまざまな道具が必要です。
例えば、配管パイプを接続するためには、トルクレンチが必要となります。
配管のフレア加工をするためのフレアツールや配管パイプの切断に必要なパイプカッター、配管パイプを曲げるパイプベンダー、銅管を切断したあとの断面を整えるリーマー、真空引きに使う真空ポンプやチャージホース、真空ゲージなどもいるでしょう。
ほかに、ネジ類やナットなどを締め付けるドライバーや六角レンチ、モンキーレンチ、両口スパナ、電線ケーブルの被覆を剥がすためのペンチやニッパーなどの工具も用意する必要があります。
壁に穴を開けるためのコアドリルや据付板(背板)を固定する電気ドリル、据付板が水平になっていることを確認する水平器や化粧カバーの切断に必要なエアコンダクトカッターなど、普段使うことのないような道具も必要です。
高い場所で作業をするための脚立や、周囲の汚れを防ぐ養生マットや養生テープ、ガス漏れを確認するのに使える石鹸水なども揃えることになります。
これらの道具を持っていない場合は、すべて購入しなければなりません。
費用を抑えたい場合は一式レンタルすることも可能ですが、いずれにせよ費用がかかります。
購入が必要なエアコンのパーツ
エアコンの取り付け工事には、工具のほかに部材も必要です。
室内機と室外機をつなぐ冷媒配管である配管パイプや、室内機から出た水を排出するドレンホース、室外機の設置に使うプラブロック、配管の劣化を防止する化粧カバーや配管テープ、壁に空けた穴や配管の隙間を塞ぐパテ、据付板を固定するためのボードアンカーなどを用意しましょう。
エアコンの種類や設置する環境によって、必要なものは異なります。
取り付け作業を始める前に、必要な部材を必ず確認しましょう。
エアコンを自分で取り付けるときの手順
エアコンを自分で取り付けるときは、以下の手順で行います。
- 01. 取り付け位置の確認
- 02. 作業スペースを確保し周囲を養生
- 03. 配管穴がなければ空ける
- 04. 据付板の設置
- 05. 室内機を取り付けるための配線準備
- 06. 室内機取り付け
- 07. 室外機取り付け、フレア加工
- 08. 配管パイプの接続
- 09. ドレンホースの取り付け
- 10. 室内機側の配管パイプを室外機側に接続
- 11. 真空引き
- 12. 真空・ガス漏れの確認
- 13. 冷媒ガスの解放
- 14. 電線の接続
- 15. 配管穴の隙間を埋める
- 16. エアコンの試運転
先ほど紹介した大量の道具や部材を用いて、これらの作業を自分でこなさなければなりません。
少しでも不安があるなら、プロの業者に頼むのがおすすめです。
中古エアコンを自分で取り付けるときの注意点

中古エアコンを購入し自分で取り付ける場合は、いくつか注意点を押さえる必要があります。
安全に作業をするためにも、必ず作業前に確認してください。
一部の作業には資格がいる
一般的な壁掛けタイプのルームエアコンを取り付ける場合、特別な資格は必要ないため自分ですべての作業を行えます。
ただし、場合によっては資格がないとできない作業が発生するので、事前に作業内容を確認しましょう。
例えば、コンセントの新設や移設、アース工事などには電気工事士の資格が必要です。
無資格で電気工事を行った場合、法律違反となり罰せられます。
取り付けに失敗する可能性がある
プロの業者に依頼せず自分でエアコンを取り付けた場合、失敗する可能性があります。
真空引きに失敗して冷媒ガスと配管内の空気が混ざったり、冷媒ガスが漏れてしまったりする失敗は、自分でエアコンを取り付ける際に起こりがちです。
中古のエアコンにはメーカー保証がないことも多く、自分で取り付け作業をした場合は業者に依頼したときに付いてくる保証も適用されません。
エアコンが故障した場合、全額自己負担で修理や買い替えをしなければならず、費用がかさむおそれがあります。
取り付け作業を始めたら最後まで行う
エアコンの取り付け作業を自分で始めたら、最後まで行わなければなりません。
作業途中で業者に依頼するのは、難しいケースが多いからです。
エアコン取り付けを行う業者の多くは、自社で行った工事に伴いトラブルが発生した場合に適用される工事保証を用意しています。
自社の工事ではなく、依頼主が自分で行った作業が原因でトラブルが発生した場合は、工事保証が適用されません。
このため、自分でエアコンの取り付け作業を行い、途中で業者に依頼しようとしても断られる可能性があります。
賃貸物件では許可なしで取り付け作業を行わない
賃貸物件に住んでいるなら、エアコンの取り付け作業を許可なく行ってはいけません。
所有者の許可を得ずに建物に手を加えると、トラブルに発展します。
まずはエアコンを取り付けてもいいか、大家さんや管理会社に相談しましょう。
エアコンの取り付け許可が出た場合も、建物を破損しないよう業者に依頼するのが無難です。
中古エアコンの取り付け業者を選ぶポイント

中古のエアコンを購入して取り付けるなら、自分で行うより業者に依頼するのがおすすめです。
しかし、業者と一口に言ってもさまざまなので、どのように選べばいいか迷ってしまうこともあるでしょう。
中古エアコンの取り付け業者を選ぶときは、以下のポイントを押さえてみてください。
口コミや評価をチェックする
中古エアコンの取り付け業者を探すときは、口コミや評価をチェックしましょう。
口コミサイトやSNSなどを見れば、実際に業者を利用した方の感想を確認できます。
口コミや評価が良くない業者に頼むとトラブルが起こるおそれがあるため、できるだけ評価が高く信頼できそうな業者に依頼しましょう。
ただし、インターネット上の口コミや評価は、業者の社員が自作自演で投稿している可能性もあります。
すべての情報を鵜呑みにせず、あくまで参考として確認するのがおすすめです。
複数の業者で相見積もりを取る
中古エアコンの取り付けを業者に依頼するなら、複数の業者で見積もりを取ることが大切です。
相見積もりを取ることで、エアコン取り付けにかかる料金の相場を確認できます。
また、複数の業者を比較すれば、適正な料金で工事を行っている業者を見つけられるでしょう。
料金の安さは重要ですが、それだけで決めてはいけません。
相見積もりを取って適正な料金だと思える業者を見つけたら、口コミや評価を確認して総合的に判断しましょう。
保証内容を確認する
中古エアコンの取り付けを行ってくれる業者を探すときは、保証内容の確認も大切です。
エアコン取り付け工事に伴い保証を付けてくれる業者は多いですが、保証の内容はそれぞれ異なります。
多くの場合は工事後半年から1年程度の保証が付いているため、いつまで保証が続くのか期間を確認しておきましょう。
また、取り付け後すぐにエアコンが故障した場合に無料修理や返金などの対応をしてくれるかどうかも確認が必要です。
できるだけ保証が手厚い業者を選べば、トラブルが起きても安心して対応できるでしょう。
自分で中古エアコンの取り付けをするより、業者に頼むのがおすすめ

中古エアコンの取り付けは、資格が必要な工事以外は自分でできます。
ただし、工具や部材などを自分で用意しなければならず、慣れていない方はお金も時間も必要です。
自分で取り付け作業を行うと、万が一エアコンが故障した際に保証を受けられないというデメリットもあります。
中古エアコンを取り付けるときは、業者に頼んだほうが安心でき、結果的に費用も抑えられるでしょう。
信頼できる業者を探すために相見積もりを取り、評価や保証内容を確認したうえで依頼先を決めてください。